第5回:ミーティングに出席する重要性

 

*「知らなかった」じゃ済まされない!分からないことは積極的に質問しよう

 

どんなイベントでも必ず行なわれる、ドライバーズミーティング。初心者はガチガチに緊張して質問しにくい、中~上級者は場慣れしすぎて右から左、なんてシーンもよく見かける。今回はミーティングに出席しなければいけない理由、そして説明される主な内容を誌上で再確認してみよう。「もう何度も参加しているし」という人こそじっくり読むべし!

①ミーティングへ出席することはイベント参加者の義務と心得る

サーキットライセンスを使う枠など特殊な場合を除き、走行前には必ずドライバーを対象としたミーティングが行なわれる。未経験の初心者なら出席する意味も分かるけど、何度も参加しているベテランなら、別に「いつもと同じ」でイイんじゃない? そう考えているなら大間違いだ。ミーティングに出なければイベントに参加する資格はないし、自分の慢心が原因で主催者や他の参加者に迷惑をかけたり、最悪のケースは事故を引き起こすこともあり得る。

シリーズ化されているイベントでは、確かに説明する内容は毎回さほど変わらない。とはいえ、コースの一部が改修されたなんて情報や、今までのルールが変更になる、といった話があるかもしれないのだ。遅刻しないことはモチロン、中~上級者ほどミーティングを真剣に聞き、ビギナーの手本になって欲しい。またレース形式の走行会では、ミーティングが出欠の確認を兼ねているケースもある。以前こんなシーンを見かけた。草レースでそこそこ経験を積んだ中級者、ヘタに場慣れし過ぎたせいか「いいよいいよ、どうせオレは分かってるから」とミーティングを欠席。その態度にカチンときた主催者は、レースへの出走を求めず参加費の返還もナシ。お互いにもう少し歩み寄ることはできたかもしれないが、厳しい処分を受けても誰にも文句はいえない悪質な行為だよね。

出席さえすればOKってワケでもない。時おり見かけるのは、隣の人としゃべるのに夢中だったり、居眠りしてまったく説明を聞いていないドライバー。毎回のように繰り返しているとおり、モータースポーツってのは危険が伴う遊びだ。主催者やサーキット側だけじゃなく、参加者にも危険を減らすよう努力する義務があるってことを忘れちゃいけないぞ。そして疑問があれば、必ず質問して解決しておく。些細なことだろうと、「こんなことを聞いたら恥ずかしい」と遠慮してはダメ。説明するスタッフにしても、何ごともなくイベントを運営したい気持ちは一緒なんだから。「聞くは一瞬の恥、聞かぬは一生の恥」の諺どおりだ。

下記のには説明されることが多い事案をまとめた、文面ドライバーミーティング的なテイスト。特にフラッグの意味に関しては、通常の走行会では使わないモノまで掲載しているので、走る前日あたりに『予習』の教材として活用して欲しい。

 

規則書があるイベントなら、細部までシッカリ目を通しておこう。ミーティングは規則を理解しているのを前提で行われるのだから。

 

最後には質問を受け付ける時間が。疑問を疑問のまま放置せず、疑問があれば積極的に挙手する。聞くチャンスはこのときしかない。

 

レースのミーティングは、会場で配布される資料を元に進められることも。出席しなければ重大な情報を聞き逃してしまう可能性大。

 

コースを走るうえでの注意点や、監視員がいるポストなども説明。速く走ることはモチロンだが、安全のためにも聞き逃すべからず。

 

 

②唯一のコミュニケーション手段フラッグの意味は必ず把握する

 

走行中のドライバーとサーキットを繋ぐ、たったひとつのコミュニケーション手段。それが色とりどりのフラッグだ。耐久レースで無線を積んでいても、それで連絡が取れるのは自チームのみ。コース上の見えない場所で何かあったときなど、それをいち早く知るほほうとしてフラッグに勝るモノはない。意味/使用頻度/提示される場所を、それぞれ分かりやすくまとめてみた。なおイエローのフラッグは2本に増えたり、振動しながら表示される場合もある。それはクラッシュでコースの大部分が塞がっているなど、「より危険な状況」という意思の現われ。通常のイエロー以上に注意して走行しなければなrない。

 

■イエロー

頻度:多/場所:各ポスト

コース上に何らかの危険があるとき。基本的には追い越しが禁止となり、安全なスピードまで減速する。ただし急ブレーキは後方から追突されるなど、逆に危ないので厳禁だぞ。

■ホワイト

頻度:少/場所:各ポスト

コース上に低速で走行しているクルマがいる場合。トラブルを起こした参加車両、もしくは救急車であるケースが多い。該当の車両が完全に停止したら、イエローに切り替わる。

■グリーン

頻度:多/場所:各ポスト

手前のポストで提示された旗による規制が解除されたという意味。ひとつ前のポストがイエローだった場合は、この旗が出ているポストを過ぎた時点で追い越しが許可される。

■レッド

頻度:中/場所:全ポスト

重大なクラッシュや悪天候などの理由で、走行が中断されたことを示す。この旗を見たらイエロー以上に安全なスピードまで減速し、ピットに戻るか指定された場所で停車する。

■ブルー

頻度:少/場所:各ポスト

後方から明らかに速いクルマが追い上げてきたとき、追い抜かれる側に振動提示される。該当するクルマを指さしながら出すケースもあり、後続車の進路を妨害してはならない。

■ブラック

頻度:少/場所:メインポスト

危険行為を行なったドライバーに、ゼッケンと一緒に提される。この旗を出されたら速やかにピットへ戻り、オフィシャルからの注意もしくは何らかのペナルティを受けること。

■ブラック/ホワイト

頻度:少/場所:メインポスト

レース中、スポーツマンシップに反する行為を行なったドライバーに、ゼッケンと一緒に提示。それでも改まらないようであれば、黒に切り替えられる場合もあるので要注意だ。)

■イエロー/レッド

頻度:中/場所:各ポスト

オイル/雨/砂利などで、路面が滑りやすくなっている場所に提示される。特に追い越し禁止などの規制はないが、通常のグリップは期待できないので、運転には気を配るべし。

■オレンジボール

頻度:中/場所:メインポスト

ゼッケンと一緒に提示。車両が何らかのトラブルを抱えており、ピットインして説明を受けること。オイル漏れなどコースを著しく汚す可能性があるときは、安全な場所で停止。

■チェッカー

頻度:必/場所:メインポスト

通称チェッカーフラッグ。走行やレースが終了するときの合図で、メインポストでこの旗が振られたら、速度を落としてコースを1周し、ピットなど指定された場所に戻ること。

 

ポストの位置やオフィシャルの有無は走行1~2周目に自分の目でチェック

上で説明した各種のフラッグが振られるのは、コース内に設置された『ポスト』と呼ばれる場所。チェッカーフラッグなどが提示されるメインポストは、メインストレートにあることが多い。すべてのポストにオフィシャルがいるワケではなく、レース形式の走行会では「今日は○番ポストとX番ポストは無人です」など、あらかじめ説明されるケースもある。ポストの代わりとして青/黄/赤の信号機を使っているサーキットも存在する。初めて走るサーキットでは、最初の何ラップかでポストの位置を必ず把握しておくように。

 

ペナルティが与えられる場合は、メインポストでゼッケンと一緒に提示される。他にも重要な旗が出される場所なので、メインポストは毎周チェックするクセを付けておきたい。

 

速度制限や整備が許される場所などピット&パドックでの決まりごとも

レース形式の走行会では、ピットやパドックの使い方もルールがある。イチバン多いのはピットロードの制限速度。光電管を使ってスピードを計測するのが正確だけど、機材がないときは「ココから先は1速のみ」なんて決まっていることも。またピットロードで行なってイイ作業が決められていることも多いので、分かりにくければミーティングのときに質問しておこう。一般の走行会なら、空気圧のチェックや窓拭きなどを除き、整備はすべてピットやパドックで行なうのがマナー。

 

東北660選手権では光電管によるスピード計測を行なう。ピットロードの制限速度は60㎞/hに定められており、違反するとドライブスルーなどのペナルティが適用される。

 

コースイン箇所には信号がりコース上に合流するにはサーキット事にルールがある、又 コース上にはピットロードの入口が分かりやすく表示されている。このレーンに入る手前からスピードを落とし始め、つまらない違反でペナルティを取られないよう注意しよう。

 

 

③同行者にルールを教えるのもドライバーの義務と自覚する

 

ミーティングの内容とは少し異なるかもしれないが、喫煙/駐車/ゴミ捨てなどのルールは、ドライバーが責任を持って同行する仲間に伝えること。雨の走行会じゃ必ず見かけるシーンとして、サインガードでのカサがある。もし突風でカサが飛ばされて、コース内に落下したら……? 自分たちエントラントの安全のため、せっかく応援に来た仲間にイヤな思いをさせないためにもね。東北660選手権では、チームスタッフのマナー違反はドライバーの責任と規則書に明記している。

ピット内は当然ながら火気厳禁。パドックでも火を使った調理は控えるのが無難だ。どうしても必要なら、イベントの主催者やサーキットのスタッフに確認してから行なうこと。

サーキット内でのバイクはノーヘルが当たり前だったが、現在はヘルメットを着用し保険への加入も義務化しているコースが増えている。当たり前といえばごく当たり前の話だ。

 

 

④危険なポイントや改修された箇所などコースの最新情報もミーティングで!

 

雨が降ったとき水の溜まりやすい場所、乗るとマシンにダメージが及ぶ可能性のある縁石、前日にオイルが撒かれて滑りやすいコーナーなどなど。走行前のミーティングではイベントを安全に楽しむための、重要な情報を教えてもらえることが少なくない。ノントラブルで走り切れば、タイムやレースの順位にだって少なからず影響するのは確実。そう考えれば、面倒くさがってミーティングに出席しないとか、居眠りして話を聞き逃すなんて、勝負を捨てているとしか思えないでしょ?

以前はフラットで乗っても平気な縁石だったはずが、いつの間にか改修で波状になっていたり。知らずに乗ったらエラいことになる。

サーキット主催のイベントなら、より細かな情報を教えてくれる可能性が高い。何たってコースを誰より知り尽くしているんだから。